
□ 最初に
どうして、住宅ローンビジネスに焦点を当てて書こうと思ったかといえば、住宅ローンの組み方や、金利の比較だけでは表面的すぎて、仮に35年も付き合う銀行との交渉に優位に立てないと考えたからです。裏側が分かれば、戦略も立てられる。そういう気持で書きました。巷には住宅ローンの情報があふれていても、情報の見方は誰も教えてくれない。何故ならみんな知らないからです。それなら私が教えましょう!
銀行選びのトータルコスト選定術
銀行ってどうやって儲けているの?
みなさんは銀行というのは敷居の高い存在で、難しいことばかり捏ねくりまわして結局言われるがまま、よくわからず契約したりしたことはありませんか?
口座開設や定期預金、カードローンならまだしも、住宅ローンとなると基本的には35年間、銀行と付き合っていかなくてはなりません。日本には都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、外資系銀行等の様々な金融機関があります。その中で住宅ローンを取扱っていない銀行は皆無です。何故か?
それは当然のことですが、銀行にとって儲かるからです。
銀行というのは顧客からの預金や国から低利で資金を集めて、いかに高い利回りで運用できるかが儲けるポイントです。上場企業に0.5%の金利で1年間100億円(担保なし)貸付けするのも運用ですし、住宅ローンで35年間、2.875%で3,000万円(担保有)貸付けするのも銀行にとっては運用です。
さて、ここで運用の基本を考えてみましょう。「卵は同じ籠に入れるな」という投資をする上でセオリーともいえる言葉があります。どういう意味かというと、一つのお金(卵)を同じ籠に入れていたら、その籠を落としたりしたら全部割れるから分散しなさいということです。銀行も同じです。銀行の何兆円もの資金を何千万円単位、何百万円単位で分散でき、しかもそのお金(ローン債権)は全て担保付き、保証会社付、団体信用生命保険付、挙句の果てには保証人付(銀行による)です。銀行業がこのビジネスに参入しない理由がないですよね。
銀行の住宅ローンビジネス ~入口、中間、出口戦略~
どのようなビジネスも言えることですが、戦略を考えるときには入口、中間、出口の戦略を考えることなしには成り立ちません。銀行の住宅ローンの場合はどうでしょうか?
住宅ローンビジネスにおいては、入口=貸付時、中間=返済期間中、出口=完済時となります。
住宅ローンを借入する時にはこの三点のコストを比較する必要があります。
入口→融資事務取扱手数料、保証料
中間→金利や一部繰り上げ返済手数料
出口→約定完済、全額繰り上げ手数料(借換え手数料)
いいですか?大抵の方はお金を借りるのに金利を支払うのはご存知でしょう。
しかし、それだけでは無いんです!!
借入時にも返済時(一部、全額)にも手数料が必要なのです。
住宅ローンに慣れていない方(慣れている方はそんなにいませんが・・・)は表面の金利だけで比較しようとします。確かに正解です。 ただ、入口である事務取扱手数料が31,500円という銀行もあれば、ローン金額の2.5%という銀行もあります。
ここがスーパーチェックです。
「2.5%」と、さらっと書いてあって融資実行時に気がついても後の祭り。
3,000万円の借入なら750,000円です。その差額718,500円!
リフォームできた!!家具買えた!!海外旅行できた!!貯金・・・う~~ん!!
大きな買い物をして、大きな金額のローンを組んで、完全に非日常的な世界ですので頭の中が数十万単位だと分からなくなってしまうようですが、後で差が出ますのでここはスーパーチェックです。
出口も同じことが言えます。10年間借入して他行がもっと安い金利で貸してくれる場合、銀行は第一順位抵当権を設定しないと貸してくれません。ということは、現在借りている銀行に債務を完済して、抵当権を抹消してもらわないといけません。この時に全額繰り上げ返済手数料52,500円という銀行もあれば、残債に対して2%という銀行もあります。
何故、全部返すのに手数料とるの?意味が分からないという人が大半だと思います。
銀行の理論はこうです「35年間を2%(融資を受けた時の金利)で運用できると思っていたのに、借換をされることによって銀行の運用予定がくるったから違約金ちょうだい!」
分かりやすく言えば、携帯電話の一年割で途中解約した感覚です。これなら分かりますよね。
「一年以上契約するという契約だから基本使用料を安くしていたのに、解約するなら・・・」
これと全く同じです。この出口もスーパーチェックです。
中間については表面金利ですので数字が出ております。安い高いはどなたでもお分かりになると思いますので割愛いたします。これらの入口、中間、出口を総合的に判断して銀行と付き合っていければ、こんなはずじゃなかったと慌てることはないのではないでしょうか?とにかく借りるときは入口、中間、出口の3つに絞って説明を受けてください。
審査上のポイント
総合的なコストパフォーマンスを比較検討して、借入をする銀行を決めたら次は審査です。
日本の慣例では不動産会社を通じて銀行に書類を提出するケースがほとんどです。その方が書類集めもスムーズで、追加書類等があれば銀行からの連絡が取りやすくよりスピーディーな回答が得られるからです。
銀行員に書類を提出して、「どうですか?」と聞いても必ず「総合的な判断でご回答します」と声をそろえて言います。「融資取引に係る断定的な判断はしてはいけない」というルールがありますから、結果を焦る気持ちは分かりますが回答を待ちましょう。ただポイントとしてはいつまでに回答をもらえるかだけは聞いておきましょう。
審査のポイント
① 収入と返済のバランス
② 勤務先、勤務年数
③ 資産状況(預貯金等)
④ 物件評価と自己資金割合
大体以上の4つに集約されます。②と③の審査は総合的な判断になります。逆に①と④は絶対的な数値が出ますからスーパーチェックです。
【要チェック単語】 返済比率
返済比率とは、これから借りようとしている住宅ローンの年間返済額と現在のローンの年間返済額を合計した額の年収に対する割合をいいます。概ね35%以内であれば、融資基準内といわれています。
返済比率 = (年間返済額+既存ローン返済額)÷ 昨年度源泉所得金額 × 100
【サンプル】
・年収600万円
・4300万円の自宅を購入予定。(借入3500万円、3%、35年)
・オートローンあり 毎月3万円返済
住宅ローン返済額 134,697円/月→1,616,364円/年
オートローン返済額 30,000円/月→ 360,000円/年
年間返済額合計 1,975,364円
1,975,364円/6,000,000円×100%=32.9% →35%以内なのでクリアー
※管理費・修繕費は返済比率には含まないケースが多いようです。
※銀行によっては返済比率を40%程度まで許容する銀行もあります。
※本件借入の試算金利は銀行によってまちまちですが、実際の実行金利よりは高くしているのが一般的です。
銀行が算定する物件評価には絶対に逆らえません。銀行は物件評価以上のローンは出しません。
銀行の債権が担保では賄えず、オーバーローンになってしまうからです。そして、銀行の出す担保評価は流通価格より下回るケースがほとんどです。なぜなら積算方式という担保評価の取り方をしているからです。これは建物いくら、土地いくら、すなわちこの物件評価はいくらと計算しております。
簡単に例を示しますと、
A戸建て
売買価格 4,300万円
銀行評価 3,800万円(土地2,000万円、建物1,800万円)
※この場合だと500万円を自己資金として用意しておかないと購入できません。
というケースがほとんどです。これはあくまで銀行が算出する価値で流通価値とは全く違います。
流通価格には、不動産会社の利益や、リフォーム等の費用も価格に反映されています。
リフォームに関しては銀行の評価として含まないケースがほとんどです。(含む銀行も出てきました。)
不動産の売買は相場というものがあっても、この値段で売らないといけないというのはないので時代背景によっても変わりますし、売主と買主の気持ちや状況でも変わってきます。
以上のケースで分かるように、よく広告で見る自己資金0、フルローンで購入できるというのは、現実的には厳しいのではないのでしょうか。当然審査する銀行によっても、物件評価は変わってきますけど、路線価等の国や公共団体が出している指標を元にしてシステム化しているところが多いので、あまり変わらないというのが私の印象です。
銀行の担当者の稟議書の書き方や、稟議書を見た審査の人(もしくは保証会社の人)が見ての総合的な判断になります。銀行によっては同じ会社での勤続年数が3年以上無いと審査対象外ということも聞きますが、現状としては、働き方の多様化やヘッドハンティングされている人も多く、条件がいい会社に行くというのは自然だという考え方が定着しつつあり、そこにばかり銀行が着目していると貸せる人が少なくなるので、これに関しては、銀行審査の一つの材料程度として考えてください。
銀行は結局返せる人に貸したいのです。
住宅ローンビジネスの5つのリスクヘッジ(危険回避)
~①保証会社 ②団体信用生命保険 ③保証人 ④火災保険 ⑤担保設定~
冒頭に住宅ローンビジネスは儲かると書きました。
①一番の要因は保証会社の存在です。保証会社は大抵、銀行本体が100%出資で子会社を持っております。
そこに銀行本体の債権(ローン)を保証させるわけです。「お客さんが返せなくなったらこの債権を保証してね!」って。これで銀行は、債務者が返済できなくなったら保証会社に保証させるからリスク回避できます。
②万が一死亡したら団体信用生命保険がある。これは銀行が債務者に保険をかけます。「死亡時には銀行の口座に残債分のお金を振り込んでね!」って。つまり、保険会社が銀行に代位弁済(債務を代わりに返済)し、リスク回避ができます。
③滞納のリスクを回避するために保証人、それでも返せなくなったら担保の売却、火事になったら物件が燃えてしまうから火災保険に質権の設定をする。(質権の設定とは火災保険証券を銀行が預かることです。)
ここまで万全を喫したビジネスはすごい!!とただ感心するばかりです。
私が以前から不思議なのは保証料です。銀行も債権を保証してもらっているのにも関わらず、何故お客様である借り手が全て保証料を負担しないといけないのか。銀行との折半でもいいのではないかと、ずっと不思議に思っております。(こんなこと言っても仕方ないのですが・・・)
※銀行によっては保証人を要求しないケース、保証会社に保証させずに銀行本体のみで融資(プロパー融資)するケース、火災保険に質権設定しないケースがあります。
□ 最後に
銀行の住宅ローンビジネスについて書いてきましたが、一番の目的は銀行で住宅ローンを組むことではなく、欲しい不動産を購入するということです。ローンが組みたいわけではないですよね?不動産は、人と同じで、全く同じものは2つと無く、その不動産は、その時しか取得することは出来ません。銀行のローンはあくまでその為の手段です。安く良質なものを気持ちよく購入したいと誰もが願っております。その中で、当社の仲介手数料無料サービス、住宅ローンアドバイスを受けて購入できればお客様の理想に近づけると信じております。





