元銀行員だから知っている。住宅ローンのホントのトコロ
最初に
どうして、住宅ローンビジネスに焦点を当てて書こうと思ったかといえば、住宅ローンの組み方や金利の比較だけでは表面的すぎて、仮に35年も付き合う銀行との交渉に優位に立てないと考えたからです。裏側が分かれば戦略も立てられる。そういう気持で書きました。巷には住宅ローンの情報があふれていても、情報の見方は誰も教えてくれない。人生を左右する大きな選択をするのにノーマークでいいのですか?
そもそも銀行の仕事って?
預金、融資、為替が3大業務としてありますが、本質的には銀行は集めた資金を運用して儲けることが仕事です。
銀行は顧客からの預金や国等から低利で資金を集めて、いかに高い利回りで運用できるかが儲けるポイントです。上場企業に0.5%の金利で1年間 100億円(担保なし)貸付けするのも運用ですし、どこかの国債を買うのも運用。またはカードローンで年利18%で30万円貸すのも運用。そして住宅ローンで35年間、2.875%で3,000万円(担保有)貸付けするのも運用です。
さて、ここで運用の基本を考えてみましょう。「卵は同じ籠に入れるな」という投資をする上でセオリーともいえる格言があります。これは一つのお金(卵)を同じ籠に入れていたら、その籠を落としたりしたら全部割れてしまうから、分散しなさいということです。
銀行も全く同じです。
銀行の何兆円もの資金を何千万円単位、何百万円単位で分散できれば大きなリスクヘッジになります。では住宅ローンだとどうでしょうか?ローン債権は全て担保付き、保証会社付、団体信用生命保険付、挙句の果てには保証人付(銀行による)です。銀行業がこの運用方法を使わない手はないのです。
住宅ローンを攻略する ~入口、中間、出口戦略~
住宅ローンビジネスにおいて銀行は、入口=借入時、中間=返済期間中、出口=完済時に儲けます。私たちが住宅ローンを借入する時にはこの3点のコストを比較する必要があります。
お金を借りるのに金利を支払うのはご存知でしょう。しかし、それだけではありません。借入時にも返済時(一部、全額)にも手数料が必要なのです。住宅ローンを初めて組まれる方は表面の金利だけで比較しようとします。
しかし入口である融資事務取扱手数料が31,500円という銀行もあれば、ローン金額の2.5%という銀行もあります。「2.5%」と、さらっと書いてあって融資実行時に気がついても後の祭り。
3,000万円の借入なら750,000円です。その差額718,500円!リフォームできた!!家具買えた!!海外旅行できた!!貯金・・・う~~ん!!
大きな買い物をして、大きな金額のローンを組んで、完全に非日常的な世界ですので頭の中が数十万単位だと分からなくなってしまうようですが、後で差が出ますのでここは念頭に置いておいてください。
中間については表面金利ですので数字が出ております。金利の安い高いはどなたでもお分かりになると思いますので割愛いたします。
出口も同じことが言えます。10年間借入して他行がもっと安い金利で貸してくれる場合、銀行は第一順位抵当権を設定しないと貸してくれません。ということ は、現在借りている銀行に債務を完済して、抵当権を抹消してもらわないといけません。この時に全額繰り上げ返済手数料52,500円という銀行もあれば、 残債に対して2%という銀行もあります。
何故、全部返すのに手数料とるの?意味が分からないという人が大半だと思います。
銀行の言い分はこうです「35年間を2%(融資を受けた時の金利)で運用できると思っていたのに、借換えをされることによって銀行の運用予定がくるったので違約金いただきます。」わかるような、わからないような・・・
これらの入口、中間、出口を総合的に判断して銀行と付き合っていければ、こんなはずじゃなかったと慌てることはないのではないと思います。とにかく借りるときは入口、中間、出口の3つに絞って説明を受けてください。
審査上のポイント
総合的なコストパフォーマンスを比較検討して、借入をする銀行を決めたら次は審査です。
日本の慣例では不動産会社を通じて銀行に書類を提出するケースがほとんどです。その方が書類集めもスムーズで、追加書類等があれば銀行からの連絡が取りやすくよりスピーディーな回答が得られるからです。 銀行員に書類を提出して、「どうですか?」と聞いても必ず「総合的な判断でご回答します」と声をそろえて言います。「融資取引に係る断定的な判断はしてはいけない」というルールがありますから、結果を焦る気持ちは分かりますが回答を待ちましょう。ただポイントとしてはいつまでに回答をもらえるかだけは聞いておきましょう。
審査の4つのポイント
1.収入と返済のバランス
2.勤務先、勤務年数
3.資産状況(預貯金等)
4.物件評価と自己資金割合
大体以上の4つに集約されます。2と3の審査は総合的な判断になります。逆に1と4は絶対的な数値が出ますからチェックです。
【要チェック単語】 返済比率
【サンプル】
・年収600万円
・4300万円の自宅を購入予定。(借入3500万円、3%、35年)
・オートローンあり 毎月3万円返済
住宅ローン返済額 134,697円/月→1,616,364円/年
オートローン返済額 30,000円/月→ 360,000円/年
年間返済額合計 1,975,364円
1,975,364円/6,000,000円×100%=32.9% →40%以内なのでクリアー
※管理費・修繕費は返済比率には含みません。
※本件借入の試算金利は銀行によってまちまちですが、実際の実行金利よりは高くしているのが一般的です。
銀行が算定する物件評価額には絶対に逆らえません。銀行は物件評価額以上のローンは出しません。
銀行の債権が担保では賄えず、オーバーローンになってしまうからです。そして、銀行の出す担保評価は流通価格より下回るケースがほとんどです。なぜなら積算方式という担保評価の取り方をしているからです。これは建物いくら、土地いくら、すなわちこの物件評価はいくらと計算しております。
簡単に例を示しますと、
A戸建て
売買価格 4,300万円
銀行評価 3,800万円(土地2,000万円、建物1,800万円)
※この場合だと500万円を自己資金として用意しておかないと購入できません。
というケースがほとんどです。これはあくまで銀行が算出する価値で流通価値とは全く違います。
流通価格には、不動産会社の利益や、リフォーム等の費用も価格に反映されています。
リフォームに関しては銀行の評価として含まないケースがほとんどです。(含む銀行も出てきました。)
不動産の売買は相場というものがあっても、この値段で売らないといけないというのはないので時代背景によっても変わりますし、売主と買主の気持ちや状況でも変わってきます。
以上のケースで分かるように、よく広告で見る自己資金0、フルローンで購入できるというのは、現実的には厳しいのではないのでしょうか。当然審査する銀行によっても、物件評価額は変わってきますけど、路線価等の国や公共団体が出している指標を元にしてシステム化しているところが多いので、あまり変わらないというのが私の印象です。
銀行の担当者の稟議書の書き方や、稟議書を見た審査の人(もしくは保証会社の人)が見ての総合的な判断になります。銀行によっては同じ会社での勤続年数が3年以上無いと審査対象外ということも聞きますが、現状としては、働き方の多様化やヘッドハンティングされている人も多く、条件が良い会社に行くというのは自然だという考え方が定着しつつあり、そこにばかり銀行が着目していると貸せる人が少なくなるので、これに関しては、銀行審査の一つの材料程度と して考えてください。銀行は結局返せる人に貸したいのです。
住宅ローンビジネス5つのリスクヘッジ(危険回避)
住宅ローンを貸し付けするときに銀行は回収できないことを一番恐れます。銀行の防衛策をご紹介します。
まずは保証会社の存在です。
保証会社は大抵、銀行本体が100%出資をして子会社にしております。 そこに銀行本体の債権(ローン)を保証させるわけです。「債務者が返済できなくなったら保証していた債権は全部、子会社である保証会社が本体に返します。」これで銀行本体は、債務者が返済できなくなったら保証会社に保証させるのでリスク回避ができます。
万が一、債務者が死亡したら団体信用生命保険があります。
これは銀行が債務者に保険をかけます。「死亡時には銀行の口座に残債分のお金を振込む。」つまり、保険会社が銀行に代位弁済(債務を代わりに返済)するのでリスク回避ができます。
返済滞納のリスクを回避するために保証人が返済をする。
それでも返せなくなったら担保物件の売却。
火事になったら物件が燃えてしまうから火災保険に質権の設定をする。
(質権の設定とは火災保険証券を銀行が預かることです。)
ここまで万全を喫したビジネスはすごい!!とただ感心するばかりです。 私が以前から不思議なのは保証料です。銀行も債権を保証してもらっているのにも関わらず、何故お客様である借り手が全て保証料を負担しないといけないのか。銀行との折半でもいいのではないかと不思議に思っております。(こんなこと言っても仕方ないのですが・・・)
※銀行によっては保証人を要求しないケース、保証会社に保証させずに銀行本体のみで融資(プロパー融資)するケース、火災保険に質権設定しないケースがあります。
最後に
銀行の住宅ローンビジネスについて書いてきましたが、一番の目的は銀行で住宅ローンを組むことではなく、欲しい不動産を購入するということです。住宅ローンが組みたいわけではないですよね?
不動産は人と同じで、全く同じものは2つと無く、その不動産はその時しか取得することは出来ません。銀行のローンはあくまでそれを取得する為の手段です。
安く良質な不動産を気持ちよく購入したいと誰もが願っているはずです。
その中で、弊社の仲介手数料無料サービス、住宅ローンアドバイスを受けて購入できればお客様の理想に近づけると信じております。



















