旧耐震マンションでも住宅ローン控除が使えるかも??

残念なことに、最近は大きな地震が頻発しています。マンションの耐震診断は、緊急輸送道路沿いの旧耐震以外は義務ではないうえに、かなり高額なこともあり、全てのマンションが診断を受けている訳ではないのが現状です。

耐震診断を行っていない旧耐震のマンションは、基本的に住宅ローン控除を利用する事は出来ません。ただし、5階建以下の壁式構造で建てられた物件(団地タイプなど)であれば、利用出来る可能性があります。

不動産会社で働いている方でも、この点を勘違いし、正しく理解出来ていないことがあります。ご自身で調べ、取得をしないと結果的に何百万円も損をしてしまう可能性があります。
「知らなかった」で、損をしないよう、旧耐震以外の物件購入を検討されている方も含め、住宅ローン控除の要件や、確認手順などを整理してお伝えしたいと思います。

【住宅ローン控除とは】
これから家を買おうとしている方であれば、「住宅ローン控除」のことは、一度は目にしている言葉だと思います。

そもそも住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して購入した場合、一定の要件を満たせば、1年間で最大20万円~40万円までの金額を最長10年間(2019年10月~2020年12月の間に消費税10%の住宅購入の場合は13年)、所得税または住民税から控除をしてくれる、大変ありがたい減税制度です。
ただし、購入時期や物件価格に消費税が含まれているか否かで、控除される金額や年数が異なりますので、正確な金額はその都度確認するようにして下さい。

利用するための要件について、細かく記載すると非常に長くなるので、今回は中古マンションの場合に限って要点を箇条書きにします。

【条件】
1.控除を受ける年の年収が3,000万円以下
2.住宅ローンの返済期間が10年以上
3.床面積が登記簿謄本で50㎡以上
4.築25年以内、または耐震基準適合証明書を取得した建物であること

【築年数と耐震基準適合証明書が住宅ローン控除の鍵】
上記の1から3に関しては皆さんもよくご存じでしょう。ポイントとなるのが、4.の「築年数と耐震基準適合証明書」について。
築25年以内のマンションであれば、耐震に関する書類は不要ですが、25年を超えるマンションであっても、耐震基準適合証明書を取得すれば、住宅ローン控除を利用することが出来ます。

ただ、適合証明書の取得はマンションの築年数と構造によって必要な確認項目と手続きが大きく異なります。

境目となるのが、新耐震基準で建てられたマンションか否かです。

耐震基準は昭和56年6月1日に変りました。それ以降に建築確認を取得した物件が新耐震基準となります。マンションの場合、新耐震基準で建てられている物件であれば、適合証明書が取得出来る可能性が高く、手続きとしても比較的容易に取得することができます。

ただし住宅ローン控除の利用には、「建築確認済証」を取得しているマンションでなければいけません。簡単な現地調査もあり、新耐震=利用可能ではないので注意が必要なところです。

また、建築確認済証の原本や写しは、マンションの場合、取得出来ないことが多いため、その代わり、区役所で取得が可能な「記載事項証明書」を利用することが一般的です。

【旧耐震でも住宅ローン控除が利用出来る物件とは】
取得が難しく、手続きに労力と時間がかかるのが耐震診断を行っていない旧耐震基準の物件の場合です。

新耐震基準に適合しているかどうかの判断がしにくいからです。そのため、上記の書類を発行して貰うには耐震診断を行う必要があります。とはいえ、診断しようにも、費用が数百万円と高く、マンションの場合1人の一存で行うことは出来ません。たとえ、診断が出来たとしても、適合するかどうか分からないため、非現実的で、基本的には不可能に近いでしょう。

ただし、冒頭でも記載しました通り、5階建以下の壁式構造で建てられた物件(団地タイプなど)であれば、新耐震に適合している可能性があります。

というのも、壁式構造は壁や床で建物を支える構造のため、ラーメン構造に比べ一般的に地震に強く、阪神淡路大震災の時も新耐震基準で大きな被害を受けた建物があったなか、致命的な損傷はほとんど受けなかったようです。

そこで旧耐震の壁式構造の場合、国土交通省が監修した耐震の簡易診断で証明書を取得できるようになりました。

もちろん、壁式構造であれば全ての物件が利用出来るわけではなく、建物の形や建築方法によっても異なります。書類での事前調査や、建築士による新築時の竣工図の確認、現地でのコンクリート強度調査など、様々な調査を行ったうえでの判断となります。

手間もかかるため、新耐震基準の取得費用よりも高く、現地調査と簡易診断を行わないと取得が可能であるのか分からないこともあります。調査した結果、取得出来なかったとしても、一定の費用が発生してしまうことになりますので、取得出来たときに見込める費用と比べてから、依頼するか否かを決めると良いと思います。

【耐震基準適合証明書の取得は人任せにしない】
最後に、1番大事なことですが、旧耐震、壁式構造の耐震基準適合証明書を取得する際は、不動産業者や証明書の発行会社1社の意見だけに頼らず、ご自身で調べ、依頼するようにしてください。

というのも、発行会社によっては、そもそも旧耐震の簡易診断を行っていないところや、行っていても建物の形や、不足書類あった場合などは、診断自体を断られてしまうことがあります。

断られてしまったとしても、断られた理由を確認し、その旨も伝えた上で、他社にも取得出来ないか確認することをお勧めします。

ご自身のお金に関わる大事なことです。耐震基準適合証明書は物件の引渡しまでに取得する必要があり、時間も限られます。人任せにせず納得するまで動いてください。

あくまで当サイトの見解ですので、詳細は最寄りの税務署及び税理士等にお尋ねください。

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小倉俊二郎

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投稿者プロフィール

■私の考え方・価値観
居住用・投資物件に限らず、よくお客さまから良い物件があれば、ご紹介頂けますか?とお願いをされます。

そこで私がいつも考えるのは、その方の今後の生活や暮らし方です。
良い物件とは本当に人それぞれですし、タイミングによっても異なります。状況によっては、今はまだ買わないほうが良いことだってあります。

■不動産・投資その他
・2019年 マイホーム購入
・老後の目標不動産収入 月30万円
・株式投資・外貨・積立保険・自宅投資
・住まいは東京都世田谷区
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・趣味は野球 ※早朝野球チームに入っています
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