資産価値が落ちにくい中古マンションの選び方

不動産においては、資産価値が高いものが自分にとっても住み心地の良い物件であるとは限りません。住宅購入においてはライフスタイルに合った設備や立地を考慮したうえで、何を優先するかを決めることが重要です。現実的には、諸事情からやむを得ず、ある程度の妥協をしてマンションを購入することもあるでしょう。

今回は、少しでも後悔しない為の中古マンション購入を目指し、そのひとつの観点として「資産価値が下落しにくい中古マンションの選び方」をご紹介します。

資産価値が落ちにくい中古マンションとは

中古マンションの購入を検討する際、その資産価値のことを意識している人はいったいどのくらい居るでしょうか。内装や間取り、立地など、今現在の自分たちの暮らしに合った、物件選びはもちろん大切ですが、先々の暮らしをも考えるとその物件はどうなのでしょうか。転勤やライフスタイルの変化によって転居することも十分に考えられるでしょう。また、何らかの事情で自宅を売却したり、自宅を担保として借金をする必要が生じる場合もあります。そこで重要になるのがその不動産の資産としての価値=「資産価値」なのです。

不動産は立地、間取り、面積、築年数など様々な観点から精査された基準に基づき、その資産価値が決められます。当然ながら、資産価値が高いマンションほど高値での売却が可能となります。しかしながら、資産価値はその時々の世情、経済、流通などの側面から非常に流動的な資産であるということも忘れてはいけません。マンションの使用状況や社会環境の変化によって、中古マンションの資産価値は変動します。購入当時に資産価値が高いマンションでも、売却時にその価値が大幅に下がってしまうというケースも珍しくありません。常に変動する資産だからこそ、その価値が少しでも「下落しにくい」物件を見極めて購入する事が重要なのです。

ここをチェック! 資産価値が落ちにくいマンションの選び方

実は、中古マンションの資産価値を決めるポイントはある程度決まっています。ですから、プロの意見を参考にしつつ、今後変動する見込みが低いものを見極める事で資産価値が下落しにくい物件を探すということにつながるのです。

築年数がある程度経っているマンションを選ぶ


まずは物件の築年数を見て、ある程度年数が経過しているもので絞り込んでみるのがおすすめです。築浅の中古マンションは確かに資産価値が高めですが、時が経てばその物件は築浅ではなくなるわけです。築浅はあくまで一時的な資産価値なので、内装状況や住み心地と相談しながらある程度築年数の経った物件を狙ってみるのが良いでしょう。ここで、ある程度と定義したのは、築20年~35年辺りの物件です。それ以上築年数が経過してしまうと、今度は逆に耐震基準が現在のそれに適合せず、資産としての価値が下がることもあります。

駅近、買い物しやすいなど利便性が良いマンションを選ぶ

物件の立地条件も資産価値を決める上で重要です。中でも買い物環境や、駅までの所要時間などは急激に変化する事が考え難いため、安定した資産価値のポイントとなります。利便性の高い立地にある中古マンションは、購入時の高い資産価値が長期間継続しやすいと言えるでしょう。

災害耐性や地盤が固い地域のマンションを選ぶ

日本は地震や台風の多い風土なので、災害耐性の高さや地盤の固さも資産価値の重要な評価対象です。これらの項目もただちに変化や劣化が訪れない為、資産価値の安定に貢献しています。

また現在、耐震基準は国の建築基準法施行令改正により制定されており、法令施行1981年(昭和56年)6月1日以降に確認申請を受けた物件を「新耐震」、それ以前に建てられた物件は「旧耐震」と位置付けられています。建築に要した日数がマンションによって異なる為一概には言えませんが、販売図面記載の建築年月日が1983年(昭和58年)1月より新しければ、基本的に新耐震基準です。旧耐震物件の場合は、資産価値の評価を下げてしまう場合もあります。

リノベーションがしやすいマンションを選ぶ

中古マンションを購入し、内装や間取を自分好みに改装(=リノベーション)するケースも増えています。リノベーションにより築年数を経た物件でも、水回りなどを含め、その室内を現在の自分たちの希望に即した快適な状態に変更することが可能です。

しかしながら、全ての中古マンションがリノベーションを出来るという訳ではありません。建物の構造や工法、管理組合のルールによってはリノベーションが不可能な中古マンションもあります。資産価値の安定をめざすという意味ではリノベーションに向いている中古マンションの方がおすすめ出来ると言えます。

きちんと管理されているマンションを選ぶ

物件の資産価値を維持する為には、建物の管理状況も大きく影響すると言えるでしょう。管理会社が入り適切、かつ健全に管理組合が運営されていれば、設備の修繕や建物の清掃などが行き届き、不動産物件としての価値が保たれます。また、経年劣化による補修、改善のため建物自体の大規模な工事の際も、管理会社が様々な提案や施工業者との折衝などの役目を果たしてくれるので住民にとっては安心で心強い存在です。また、マンションの中には管理会社を置かずに、住民たち自身が管理をしている物件もあります(=自主管理)。

いずれにせよ、管理体制の良好な物件ほど資産価値としての評価も維持することができます。そのため購入物件を選ぶ際には管理会社の有無、管理体制の質などを吟味することが賢明です。

眺望の良さなどの付加価値があるマンションを選ぶ

その物件特有の付加価値が備わっている場合にも資産価値の査定の評価につながる可能性があります。例えば窓からの眺めが良い、広いテラスやルーフバルコニーなどがある、敷地内に子供の遊び場がある、住民や来客に便利な施設が完備されているなどが挙げられるでしょう。販売物件のセールスポイントとされている事も多いので、変動しにくい資産価値と捉えられます。

購入後にも注意! 資産価値をなるべく落とさない方法

中古マンションの資産価値を決めるポイントは上記の様に多岐に及びますが、資産価値を維持し続ける為に重要なのは「物件購入後の管理・修繕」であると言えるでしょう。周辺環境や付加価値などは自分の力でどうにか出来るものではありません。数年程度の年月では余程のことがない限り劇的な変化は起こり難いと言えます。

しかし、マンション設備の修理修繕、掃除が行き届かないと言う様に日常の人為的なことに起因している物件は資産価値の下落に繋る可能性が高いと言えます。せっかく購入した我が家。室内はもちろんのこと、住民同士の協力のもと、物件の価値を維持する努力を怠らず、自分で資産価値を守ることが重要と言えるでしょう。

資産価値の安定性は長期的な観点でも重要な項目であり、中古マンションの購入に際しては是非チェックしておきたいところです。しかし、資産価値ばかりに気を取られてしまって肝心の住み心地が疎かになってしまうのも問題と言えるでしょう。大切なのはライフスタイルに合わせて優先順位を決めておく事です。時には立ち止まって妥協点を模索するのも良いでしょう。中古マンションは小さな買い物ではないので、後悔しないようポイントを押さえて慎重に検討してみてください。

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